たまには

「彼は今何をしてるんでしょうか」

大学からの帰宅途中、街のやや外れの詳細不明の記念館をぼんやりと眺めてる時、後輩は言う。

どうしてそれを私に聞くのか。直接聞けば済む話ではないか。

「あなたの方が仲がいいじゃないですか」

これには少しムッとする。なんせまるきり反対のことを私も感じていたからだ。自身のことを棚にあげて、人にそれを任せるなんてあまりに傲慢だ。私と彼の仲の良さなんて、人伝に生存確認を行える程度のものだ。

ここで、また私も浅はかな人間だと言うことに気づく。

孤独ゴッコが染み付きすぎて、模様みたいになっている。自分だけが他人より秀でて好まれてるとは露とも思えないのだ(あるいは思っていても、気づかないふりをする事で多少の悲劇感を楽しでいる節はある)

しかし、よくよく考えると、この場にいない〝彼〟こそがまさに人間の浅はかなアイデンティティの製造過程に巻き込まれて知らずに材料にされた孤独な人なのかもしれない。いや、それともテレビに映るアーティストは悪気もなく呼び捨てされるように、とるに足らないと思えるほどの豊かな人生なのかもしれない。

なんだかお腹が減ってしまった。

 

新人歓迎のこの時期、広い以外に取り柄のない飲み屋で新入生が座っている。私に限らず、新たな交流関係というものは良いもので、願わくば人生の水槽を一回り大きめの物に取り替えたいと思っている。

目の前の男の子に話しかけると、彼は信じられないくらい上の空で私の話を聞き流しながら、隣の席の可愛らしい同級生の女の子に視線を送っている。彼女が初めてのお酒を口につける瞬間に「無理しなくてもいいよ」の一言をタイミングよく発しなければ彼の大学生活は終わってしまうかもしれないようなのだ。

人間の顔面とは不思議なものだ。可愛いカッコいいの基準は確かに存在していて(それはまさにインプリンティングに他ならない)そこから更に趣味趣向で派生している。人類がそこそこに滅びてないところをみると需要と供給は一致しているようでもある。

どうせどうにかなるわけじゃないのだからとも思うが、かくいう私も、初対面なら好みの容姿の人と話したいと思うのが正直なところだ。

「容姿がいい人の方が話が面白いからしょうがない」ということを言う人もいる。容姿や社交の悩みがない分、思想が特化するという理論だ。そんなことはおそらくはない。環境や感受性がその人の哲学を育てる以上、人間の内面性は多様で、評価の有無は平等な筈だ。私たちが選択的に容姿の秀でた人間と接するためにそう錯覚していることは明らかである。

しかし、それすらも最早どうでもいいことだ。なんせ可愛い女の子の話は面白くなくてもいいのである。寧ろ頭がいいことは性的交渉を望む上では寧ろ邪魔なのだとすら思われているかもしれない。合コンさしすせその応酬の中で彼らは何を得るのだろう。

真ん中位の可愛さで気が弱そうな子は口が硬いし、人にも注目されないからそのまま夜に消えていくには丁度いいという後輩の主張を肴に酒を煽っている。

お前がそれを言うかと言われたらなのだけれど、、

性的な話を露骨にするよりもっと楽しい会話をしようぜって言っちゃうくらいには話題がない直近の交友事情。何をやってもいいよ。でも俺に言わなくてもいいんだ。面白いっちゃあ面白いけどね。

 

かつての部活も行きづらくなって、バンドも休止してしまって、たまにはコピーバンドの良し悪しを語りたいと思っている。

 

※この話はフィクションです。実際の出来事、登場人物とはなんら関係がありません

 

夢日記 一章

悪夢ばかりみる。そういうものだとそろそろ諦めてるけれど、この体質との付き合いも10年以上の長期なものになってしまった。幼馴染ってやつだ。

 

①酒飲んでツイッターばっかりやる生活(実は今までしてるようでしてない類の生活)を送っていたので、マオササガワのファンに勘違いされて絡まれてコンビニの床に座ってスト缶のんで大量の自作CDを渡される夢をみた。酔っ払っていたので店内に忘れて外に出たら、「なんでお前まで捨てるんだよ!!!」って車で轢かれた。

②部屋でポルターガイストが起きて、何故かラッキービーストみたいなロボが「もう少し部屋を片付けましょう」って壊れそうな声で訴えている。エアコンが付けっ放し(現実でもそうでした)だったので消そうとリモコンを弄るけど中々消せない。

③謎の実習に参加している。異形な姿をした患者をヨードの消毒液を染み込ませた脱脂綿をセッシで持って拭くらしい。なんだか話も聞いてなかったし、上手く身体は動かないし、看護師は冷たいし。でもこれは悪夢ってほど嫌じゃなかったけど、終始不気味な時間が流れていた。

 

他にもあった気がするけどもう思い出せない。知らない陽気な集団に深夜2時に絡まれて「どっか美味いとこに連れてってやるよ」と言われていいよ行きますかって大見得切ったけど、財布にお札が入ってなくて凄い恥ずかしくなったりもしたな。

 

夢って無秩序のようで、やっぱり現実を上手く反映してるのだなと思った五時。もう春なので外も明るい。

お腹が空いている。パスタでも茹でようか。

ペペロンチーノを作るのだけは得意なんですよ。わたし。

 

あなたは何を作ってくれるの?

夢の中まで持ってきてね。

好きなものリスト 4月

 

 

人で賑わうお祭りに1人っきりで行って人間観察するのが好き

 

ハマった曲を何度も繰り返し聴いて歌詞も全部覚えちゃってからお風呂場で歌うのが好き

 

リプトンのミルクティーが相変わらず好き

 

後輩と飲みに行ってちょっとでも多く出して先輩ヅラするのが好き

 

誰かにオススメの映画を話をオチを言わないで上手く魅力を伝えるのが好き

 

ボードゲームの紙の匂いが好き

 

すぐに返信が返ってくるのが好き

 

呼び出されるのが好き

 

人の書いた文章を読んで哲学を知るのが好き

 

行きつけの喫茶店のレアチーズケーキが安くて美味しくて大好き

 

パステルカラーのパーカーが好き

 

美味しい夕飯は何でも好き

 

誰かと一緒に布団に入ってその人の匂いが服に染み付くのが堪らなく好き

 

_____

 

密かに推してたスクールアイドルから後輩のおかげで認知を頂けて幸せ。

結婚してくださいって思いながらいいねを押している。

コークグラスと99.99

まっすぐに眼を見てはくれなかった。

賞味期限の切れた怠惰の上で、エアコンは相変わらず溜息をついている。

円盤についた一筋の線でシーンが飛び飛びになるレンタル映画のように、私の生活もまた、些細なことで上手く辻褄を合わせられないでいた。

9の数字が4つ並んだポップな飲み物を何度もコップに注いで、アルカホリックは愉快と眠気の狭間のような表情をしている。私は炭酸の抜けたコーラを注いで、負けじと酔っ払ったフリをする。

どうにも長い夜だった。名作を我が物顔で流し続けながら、自分も初めてそれを目撃した気持ちを味わって、気づけば27時を回っていた。

かつての友人達は精密なこんぴゅーたでも扱うように、ガタの来始めた身体を大切に寝かせる。決して炬燵布団の中に放り投げて、上半身の最適な位置をもぞもぞ探したりなど、もうしない。

若さとはこれか。脳内では、良かったことだけ思い出してやけに年老いた気持ちになる自分。

 

大学には殆ど行っていない。行かなければならないなら行くのだが、行かなくてもいいようなので行っていない。誤解してくれるな。

代わりに映像教材というものを埋めている。親の脛がそのままお盆にのって出てきたような代物。教室に毎日座っていると、「何をしているのか」と聞かれる。まさに今君達がしていることだよ。褒めて。

医学はつまらなくもない。面白くもないが。

大学受験を思い出す。結果が出せればかっこいいの一心で物事を覚えた。今もだいたい同じ。それ自体に興味があるわけじゃないので、この覚えたことを使ってお金を稼ぐのかと思うと、人生とは、と暫し考える。高校で習ったこと、家庭教師で教えてた時は楽しかったので、案外いいのかもしれないが。先のことは余は知らぬ。選択肢もないし。

 

家に帰ればすることがないので、SNSを動かしている。このまえひょんなことで電話した旧友からはツイッターを見てるとお前が心配になると言われた。とても嬉しかったのだ。

しかし日々寂しいという旨の内容を世界にダダ漏れにさせていると、かつての友人達からはイタいやつと大いに思われているのだろう。ミュートしてる人も数え切れないと予想される。

 

私が今何が1番ほしいのか、自分でもわからない。ここ何日では、仲良くしてくれる後輩が新しく出来た。ついこないだまで仲良かった(と錯覚していた)後輩はもう遊んでくれなそうなので都合がいい。こうして人間関係を代謝のように捉えている性分が人から嫌煙される由縁なのかもしれない。でも私は別に変わってないのに。

見放される自分と、とっくに見放した自分が、向こうからこっちを見ている。手を振ったら消えてしまったのだけれど。

 

お酒は好きじゃないけどお酒を飲むのが好き。

お金だけは相変わらずないけれど。

ラスボスだけ残したドラクエ5をそろそろ終わらせて、花見屋台でたこ焼きを食べよう。あと洗濯物を干して、もう少し勉強する。

誰かからの連絡でも待ちながら。

 

4つも名作映画を観て。後輩がうちに朝までいて。私は確かに楽しいと確信していた。

ターコイズ

ターコイズブルーのスニーカーが綺麗

癖っ毛もダサい部屋着も仄かなタバコの匂いも全部好きな夜だったのに

私目覚めちゃった

 

世界ってまだ終わってなかったの!?

退屈退屈

一本道はまだまだ続いてる

途中のコンビニでジンジャーエール

 

オレンジ色の夜桜が綺麗

映画も美味しいお酒も湿った近道も

全部メモっていたのに

私目覚めちゃった

 

通行止め禁止!誰も遮らないで

行きたいところなんて別にないんだけど

 

セーブポイントからやり直したら

なんもかんも覚えてない

おんなじ過ちも素敵?

あなたがいるなら、ね

 

お気に入りのプレイリスト

共有しよう?ねぇ、勿体ぶらないで

眠れない夜でもあるの?

 

暖かくなったから平気

Y.M.Oを流して、毎回同じお店

そっくりさんをインストールしたので

もう今更遅いよ

 

この街から居なくなる前に

繋ぎとめられなかったもの

ゴミに紛れて見えなくなっちゃった

眼は良くないから余計に

 

プラスティックを燃やすみたいに

嫌なことばかり、消えもしないし

 

ターコイズブルーのスニーカーが

大好きだったのに

私目覚めちゃった

AM 6:07

まだ話したいこと山積みの街
最近じゃ夢の中ですら
暮らし続けてたいと笑った
素敵な絵表紙で選んだ小説も
読み始めるまでは中身は分からないまま


交わしていた秘め事 鞄に入らないほど忘れっぽい僕のこと君は思い出してる


予定を詰め込んで何も考えないように
いつまでもそう 子供のままで空回っていたいよ
新しい世界の始まりに気づいてしまった
今日から僕は 僕ですら知らない僕だ


住み飽きていた家ごと鞄に詰め込めたら
溢れそうなゴミ箱 自分が減る気がした


何処にでも行ける僕らよく似てる
いつかまた会える?
僕らよく似てる


朝が近づいてる音  イヤホンに流れてる
駅ですれ違う人  僕はまた探している
交わしたいな秘め事 鞄に入らないけど
忘れっぽい君のこと僕は思い出してる

ブリキの太鼓

「グリーンブック」を観てきた。

日曜日のレイトショー。独りで。

黒人の差別を取り扱った実話だったけれど、コメディの中に紛れ込ますことで不快と愉快をバランスよく交互に移していた。

主人公のトニーは白人でちょっと名の売れた用心棒みたいな感じ。職を失った(これよくわかんなかったけど、自分の目論見なのかな)ので黒人ミュージシャンのドクにツアー中のドライバーとして雇われる。

トニーは育ちのせいで元々は黒人差別があったんだけど、それは根強いものではなくて、しっかりとドクの人間性を評価して仲良くなる。いいやつ。

でも逆にたった2ヶ月でフラットな関係になれるのに、黒人差別を刷り込まれているなんて育った環境ってほんとに重要だし、怖い。

トニーの奥さんのドロレスは終始、差別など全くしないいい女だった。とても美人だし。カッコいい。

作品の中にはいくつもいくつも伏線があって、前半のそれらを後半にひとつずつ回収していく構成。完璧だった。無駄なシーンが1つもない。

コメディカルなシーンは声を出して笑いそうになったし、演奏のシーンは本当に素敵だった。ポップミュージックをドクに勧めたレコード会社いい仕事してるぞ。クラシックもきっと素敵なんだけど、やっぱりポップスに心踊ってしまう。最終日のバーの演奏は初めのクラシックで袋叩き…?ってヒヤヒヤしたけど、ハッピーでよかった。

個人的に好きなシーンはたくさんあるけど、チキンの骨を楽しそうに捨てたのに、ジュースのカップは拾わせたとこ笑 文句言いながらも拾うトニーも可愛い笑

ドロレスが手紙のお礼を言うシーンも好きだなぁ。

黒人差別なんてほんとくだらないし、でもきっと長らく変わることはなかったと思うけど(無知だけどもまだ残ってるのかな?)分かり合える友人が1人でもいればそれでいいって思えるような(これは黒人差別に限った話じゃなくて、全ての差別偏見いじめに当てはまる気もする)不甲斐ないけど、救いのあるような話だった。

 

黒人専用のツアーガイド、グリーンブック。まだ発行されてるのだろうか。いや、流石にないか。欲しいような、もう存在していないで欲しいような。

 

私の感想はいわゆる「交響曲の後にブリキの太鼓を?」ということです。